七 転 八 倒

笑って許してやってくれっ… 寛容な精神で…!

2017-06<<12345678910111213141516171819202122232425262728293031>>2017-08

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

7本目。

バトロワSS7本目。
今回は黒沢っ…!

以下反転して読めます、バトロワSSなだけに福本漫画のキャラクターが死んでしまってたりしますので、苦手な方は読まないで下さいね~

「埋葬」

***1

黒沢は美心の亡骸を抱え、暗い森の中を彷徨っていた。
美心を埋葬するのに適した場所を探す為。
胸中にあるのは悲しみ…!ふと気を抜くと、激情が再び体の内で暴れだす…!

「……ウオオオオオ…!」
黒沢は咆哮をあげ、美心を抱いたままその場にうずくまる。
先ほどから何度、こうして悲しみに支配されたか分からない。
後悔…! 圧倒的後悔っ…!

…彼女の傍を離れるなら、何故…、家具の陰やクローゼットの中に美心に隠れるよう言わなかったのか。
そうすればやり過ごせていたかもしれぬ。
自分のほうが先に殺人者と遭遇していたかも知れぬ。そうすれば救えていたっ…!きっと…!

悲しかった。ただ、ただ、悲しかった。
顔を涙と鼻水でぐちょぐちょに濡らしながら、黒沢はひたすら泣いた。

放送で美心の名前が読み上げられたときも、その場に泣き崩れた。

…そうして、しばらく経って激情が収まってくると、黒沢は再び立ち上がり、のそりと歩き出す。
別荘を出てからずっとこの繰り返しだった。

どのくらい歩いただろう。
森の中でふと、鼻につんとくる香り。磯の香り。黒沢は足を速めた。

視界が開けた。
海だ。
海は見えたが数十メートル下…断崖絶壁になっている。

海からの風が頬をなでる。泣き腫らした目に夜風が当たり、ひりひりする。
遠くを見つめる。
島一つ見えやしない。見えなければ、泳いでどこかの島まで逃げ切る、なんて行動も起こす気になれない。

美心の亡骸に目を落とし、思った。
この見晴らしの良い場所に埋葬するなら、せめてもの慰めになるのではないかと。
美心の顔を見つめる…その顔が涙で滲んで揺れた。

***2

黒沢は海から目をそらし、もと来た道を振り返った。
数歩戻ったところに、ふと白いものが光って見えた。
木の根元で点々と白く光って見えたそれは、小さな花だった。
こんな日の当たりにくい場所でも、健気に咲いている。

黒沢は木の根元を掘り返していた。花にはかからぬように気をつけながら、土を掘りだした。
黒沢の持っていた支給品…小さな金属のシャベル。
こんなことに使いたくなかった。こんなことにしか使い道のない…だが、今は有難い支給品。
シャベルが小さいなら数だっ…!その分手を動かせばいいっ…!
黒沢は無心になって堀り続けた。

ようやく、女性を一人埋められるくらいの穴ができた。
地面の窪みに美心をそっと横たえる。

「無念だったろう…!」
黒沢は美心に語りかけた。

「美心さんも…、たぶん何かの目的があって参加していたはず…。
このゲームが殺し合いだなんて、オレと同様、聞かされてなかっただろうが…。
こんなところで死ぬのは…無念だっただろうっ…!」
黒沢は美心の手をとり、語りかけた。美心の指はすっかり冷えきっていた。
大粒の涙が美心の指を濡らす。

ふと考えた。この女性が参加する目的は…何だったのか…?

美心の体に土をかけた。
足のほうから順番にかけていった。だが、顔の周りになると、手が止まる…。
自分を愛してくれた女性…!初めて好きだと言ってくれた相手…!

ようやく土をかけ終え、分厚い手で土を平らにならした。
合掌する。
本当なら親元に帰してあげたいが、叶わぬこと…。不甲斐無い男ですまんっ…!美心さん…!

***3

汗だくになった額を手の甲でぬぐいながら、海のほうに向かって座り込む。
これからどうする…?
美心さん…、いや、美心がいなくなってしまって、心の支えが無くなった…!

ふと、先ほど感じた疑問を思い出す。

何だ…?美心が参加した目的は…?
できれば、美心の無念を晴らしたい…!せめて…!
黒沢は腕を組んで考えた。推理だっ…! 今だけ憑依しろっ…!コナン君…!

黒沢は腕を組んだままうろうろと歩き回った。
が…駄目っ…!
なんにも思いつかないっ…!
道中何を話したんだっけか…。ずっと不安で、ろくに互いのことも話さなかったな…!
もっと色々聞いときゃ良かった…!
オレも…何でもいいから話しときゃ良かった…!穴平のこととか…太郎とか…スーパーカップのこととかっ…!

ふと、美心の持っていた支給品のデイバックを漁る。
藁をもつかむような思いだった。美心が黒沢を頼っていたように、黒沢もまた、美心の存在を心の支えにしていたのだった。

美心のデイバックから出てきたものは、通常支給品と、小さなラジカセ。
ラジカセはずいぶん旧式の代物だった。
(おお…今どきカセットテープだっ…)
ふと見ると、中のカセットテープは少しだけ進んでいる。
「?」

そのとき、黒沢に圧倒的閃きっ…!
もしかしたら…!

黒沢は震える指で撒き戻しボタンを押す。
キュルキュルと音が鳴り、音が止んでから再生ボタンを押す。

数秒間の雑音…、その後、小さくか細い声が流れた。美心の声だっ…。

「カイジ君…」

ブチッ
手は停止ボタンを押していた。

***4

え…? え…? え…?
カイジ君…?

黒沢は動揺したのだった。美心の声で別の男の名前が呼ばれたことに。

これが録音されたのはたぶん…公衆便所…。
美心に出会う直前…。オレが強烈な便意を感じ、便所に駆け込む前…。
ゲームが始まったばかり…こんな状況で録音する内容は…きっと重要なメッセージ…!
それも、美心にとって最も重要な人物に対しての…!
そして、その人物はこのゲームに参加しているっ…!
………もしかして、恋b

「いやいやいやっ…!それだけはないっ…!絶対無いっ…!!
美心が二股なんてするはずないっ…!!
もし本当に恋びt…なら、オレのことを好きになった、などというはずがないっ…!!」

黒沢は思わず声を上げていた。
心が美しいから…オレの美心は…!

「つまり…このカイジ君ってのは、兄弟か親戚っ…!
だから美心にとっては重要人物…!身内だから…!
…例えば、幼少の頃生き別れた兄弟…! その兄弟を救うため、美心は勇気を振り絞り、単身ここにやってきたっ…!」
黒沢の中でどんどん話がドラマティックに盛り上がる。

「そうだっ…!大事な身内に残したメッセージなら、届けてやらないとなっ…!
…だが、どうやってカイジ君を探す…?
………………。
身内だとしたら…、美心によく似ているんだろうか、やはり…?」

あのつぶらな目…、立派な鼻…、愛嬌のある、大きな口元…!
そうだっ…!きっとそうに違いないっ…!

「よしっ…探すぞっ…身内のカイジ君を…!
それで必ず…このメッセージを伝えるっ…!
言わば…オレはメッセンジャー! 正義の味方、メッセンジャーっ…!」

………色々な勘違いはあるものの、黒沢は、こうして今後の方針を決めた。
だが今は夜…体を休める…。そして、夜が明けてから行動するっ…!

***5


【B-7/崖沿い/夜】

【黒沢】
 [状態]:健康、やや体力消耗
 [道具]:不明支給品0~4 支給品一式×2 金属のシャベル 小型ラジカセ
 [所持金]:2000万円
 [思考]:今は体を休める 美心のメッセージをカイジ君に伝える カイジ君を探す
※メッセージは最初の部分しか聴いていません。
※美心に似ている人物を探そうと考えています。
スポンサーサイト

コメント

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

http://aoikitai501.blog43.fc2.com/tb.php/67-d5553c10

| HOME |

FC2Ad

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。