七 転 八 倒

笑って許してやってくれっ… 寛容な精神で…!

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長文なった…

冬コミの準備もほっちらかしでまたバトロワSSかいてた。
4作目。遠藤と森田と南郷。

※注意※
SS=サイドストーリーのこと。
バトルロワイアルSSなのでキャラ同志が殺し合いしてます、苦手な人注意。
以下反転で読めます。リレーSSなのでこれだけだと良くワカランと思います。
興味もたれた方はまとめサイトへ…
http://www31.atwiki.jp/fukumotoroyale/

「手足」

***1

南郷は棚を背に蹲ったまま、居心地悪そうに僅かに体を揺すった。
視界に入るのは薄暗いフロアの天井、その下にはひしめくように並んだ夥しい数のパソコン。
自分の斜め前には背を向けて座りこみ、しきりにぎこちない動作でパソコンを操作する長髪の男。
そして、数歩離れたところで、それを眺めるともなく見ているサングラスをかけた男。

少し前にここに連れてこられ、一時安堵はしたものの、手持ち無沙汰…。
何もしないでいると、今の現状…殺し合いゲームの最中…非常時であるにもかかわらず頭がぼんやりとしてくる。
静か過ぎるのだ……、ここは。
…いっそ夢であったら、と南郷は考える。
眠りが浅いとき、何かしら気がかりがあるときに見るとりとめもない夢なのだ…これは。

だが、時折疼く左腿の痛みが、『これは夢ではない、現実なのだ』と南郷に自覚させる。

アカギ。

このゲームが幕を開けたとき、ホテルの会場で真っ先に名を呼ばれ、
特に気負う様子もなく、平然と外へと続く扉を出て行った背中。
…この地獄へと…。

(…お前なら、俺の考えもつかないような方法で…この苦境を進んでいくのだろうな…。
…おそらく…挑むは…このゲームの主催…。主催者側の掌の上で転がされている、今の現状に甘んじているような奴じゃあない…。
むしろ…いつのまにか、奴の思惑がこのゲームを…)
ここまで考えて、南郷は目を瞑り、息を吐いた。
(俺には考えもつかないこと…これ以上は想像が追いつかぬ…。)

***2

………時は数時間前に遡る。

南郷の存在をモニターで確認した森田は、それから一時間ほど自分の行動を決められず煩悶していた。
自分はこんなにも優柔不断な性格だったか、と自己嫌悪した。
…だがしかし。『行動を決められない』ということは、『危険ではない』ということ…
…そう、森田の直感が告げていた。

危険が迫っているとき、森田は即状況に対応できる。
否、対応しようとして動けば、たいがいは…後から冷静に省みて、それがよりよい行動であった、ということになってしまう…。
森田にはそんな経験が何度もあった。結果論といってしまえばそれまでだが…。

それをあの人は、『強運』と呼んだ。
…もしくは、『翼』だと。

…そのおかげで、自分ひとり生き残ってしまう…救いたい者は救えず…

(………………くそっ!)
森田は舌打ちした。
一時間たち、コンピュータからピッと小さく電子音が響く。
『南郷』はまだショッピングモール内…大まかな地図でわかりにくいが、一階にいるとすれば、建物の入り口近くに留まっている。
何かあったときに…別の人間が来たときに迎え撃つためなのか、もしくは即座に逃げるためなのか。

(……コイツはたぶん、危険人物ではない…俺の直感がそう告げている)
森田はモニターを睨みつけながら考えていた。
(…コイツとの合流…それはもう決めている…。問題は、『ここからどう動くか』だ)

***3

森田はこの一時間でさまざまな状況を想定し、その上で、自分のこれからについて考えていた。
先ず、自分一人がここから動いて南郷に会いに行くことは考えられない。
パソコンはここから持ち運べないのだ。コンセントを抜いて運ぶのも、フロッピーだけ抜いていくのも駄目…。
このパソコンは『危険探知機』なのだ。
起動したままの状態でいなければ、危険を…今の状態を受信…即座に察知できなければ、この支給品を持っている意味がない。

…だが、遠藤一人に行かせるのも難しいだろう。
『危険探知機』の傍にいれば安心できるのは遠藤も変わらない。
そして、おそらく遠藤も、武器として使えそうな道具を持っていないのだ。…少なくとも俺にはそう装っている。
…否、安全かどうかはともかく、遠藤は俺に手駒として使われることをよしとしないはずだ。
むしろ、俺を…遠藤の思うように動かしたいはず…。
遠藤に頼んでみても、得意の口八丁でのらりくらりとかわされるのは目に見えている。
俺自身、強力な武器がないので、それをちらつかせて脅すこともできない…。

そうなると…いっそ二人で行動すること…。
『探知機』から離れるリスクを冒すなら、二人で行動し、『南郷』に近づくほうがまだいい…。

そこまで考え、遠藤に言葉をかけようとして、また少し考える。
「どうしようか?」なんて『相談』するのはもってのほか…。遠藤は『仲間』ではない。
いつ敵に回ってもおかしくない、ただの同行者だ。
こちらから判断を仰ぐようじゃ、自分が格下だと相手に公言するようなもの…。
だから、「こうしよう」なんて『提案』する…そんな生ぬるいやり方でもだめだ。

***4

「遠藤」
声をかけると、参加候補者名簿をまた端から読み返していた遠藤が、大儀そうに「ん?」と顔を上げた。

「なんだ…何か状況が変わったか?」
「南郷って奴がまだこの建物の中にいる。接触して、もし殺し合いに乗ってないなら俺たちと同行させる」
森田は命令口調にならない程度に言い切りの形をとった。

「二人で行くぞ。二人なら相手も警戒して、そうは襲ってこないはずだ」
「………。わかった」
遠藤は意外とあっさりと森田の言葉の聞き入れ、腰を上げた。

「パソコンから離れなきゃならないが…。それは仕方がない」
「…ん?それならそっちのノートパソコンにフロッピー入れ替えりゃいいだけじゃねえのか。そこの黒いモデルのなら軽いし」
「…え、でもコンセント外して持ち運ぶんだから、同じだろう…?」
「………充電式だから外してても起動させられるぞ」
「…そうなのか?」
「………お前、ホントにパソコンのこと知らねえんだな…」
遠藤は呆れ顔で言い、森田は少しばつのわるそうな顔をした。
(悩んでたあの一時間は何だったんだっ……。)

「バッテリーは3時間くらいしかもたねえだろうがな…。今はそれで十分だろ」
遠藤は慣れた手つきでフロッピーをノートパソコンに差しこみ、起動させた。

***5

「ほれ。じゃあ行くぞ」
遠藤に促され、森田は緊張の面持ちで止まったままのエスカレーターを下る。
南郷を警戒してはいないのか、遠藤は特に身を隠そうともせずスタスタと歩を進める。

…そうして、遠藤と森田は、一階の入り口…『インフォメーションセンター』と書かれた看板の下、
設置されたカウンターの影で、足を押さえて蹲っている南郷を見つけた。

遠藤が警戒しないのも無理はない、と後で森田は納得した。
南郷は、知り合いに会えて助かったと言わんばかりに安堵の表情を浮かべ、自分の持ち物を全部遠藤と森田に晒して見せた。
自分は大した武器を持っていないから安全だ、と言いたかったらしいが…、もし俺たちが殺し合いに乗っていたらどうするつもりだったのか。
まあ、それはそれとして…。森田は南郷の持っていた支給品を見て、こう評価した。
「この麻縄やパチンコ玉は使えるな…」
「え?…そうか?」
「トラップとして役に立ちそうだし…、例えば、パチンコ玉を滑りやすい床にばらまいたら、不意打ちでやれば敵を転ばすことくらいはできるかも」
「おお、なるほど…」
「麻縄は、捕まえた敵をふんじばっておくことができる…」

言いながら、森田は考えていた。麻縄のもう一つの使い道…。
凶器としての使い方…。後ろから…相手の首に絡ませて…。
だがしかし、それは言わないでおいた。万が一にもそんな使い方はしたくない。

***6

「…ところでアンタ…森田って言ったっけな。アンタの持っているそのパソコンは?」
「…ああ、これは俺の支給品…。パソコンに挿しているフロッピー…。このプログラムで、参加者全員の位置を確認できる」
「へえ、便利なもんだな」
森田は正直に言った。同行するのだからいずれは話さなくちゃならない。

「…参加者の位置が分かるっていったな」
「ああ…、なに、今このエリアにいるのは俺たちだけ…今のところ危険はない」
「うん、いや、一人…位置を教えてほしい人物がいる」
「ん?」
「……赤木しげる…は、今どのあたりにいる?」

午後からモニターを見ていたが、赤木しげるは積極的に移動していた。
一時間おきに画面が更新されるたび、参加者の位置は必ず目を通していたが…。
赤木は島の中央から南下していっているようだった。どこか目的地を目指しているといった動きだ。
『参加者候補名簿』を見る限り、…これは参加者の過去、経緯を簡単に記してあるだけの代物だが、
赤木しげるという人物はそれなりに危険な人物のようだった。
…物心ついた頃から、その筋では有名なやくざや暴力団との関わりをもちながら、どの組にも組み込まれなかった人物。
それだけ危ないと言うか、一筋縄ではいかない人物ということだろうか。…まだ20歳にも満たないこの男が。

***7

「赤木しげるは…今はE-4だな…。2時間前にはD-3にいた」
「…そうか」
「知り合いか?」
「ああ…。俺の命の恩人でもある」

南郷は、言いながらどこか可笑しい気分にもなった。
赤木が…あの嵐の夜、俺を助けたのは成り行き…、
その上奴は、俺の命…300万の勝ちを元にさらにヤクザにケンカを売ったのだ。

「………。この男は…殺し合いに乗ってそうか?」
「いや…何と言っていいか、表現できねえが…。殺し合いに乗るとか、乗らないとか、そういう枠には嵌まらないんだ、この男は」
「は…?」
「…でもまあ、敵になりえなければ大丈夫…。赤木にやられることはねえ…」
「………? どういうことだ…?」
南郷はそれきり押し黙ってしまった。

(できることなら合流したいが…。今の俺じゃあ…。)
南郷は傷ついた足に目を落とし、息を吐いた。

(今奴に会っても足手まとい…。)

***8

………そうしてまたしばらく時間がたった。
南郷が赤木のことで色々考えをめぐらせていたとき、森田が発した小さな声で現実に引き戻され、
そちらに目をやった。

「また誰か近づいてくるな……」
「………どいつだ?名前は…」
遠藤が、閉じていた参加候補者名簿を再び開きながら、森田の傍に寄っていった。
「佐原、という奴だ。もう建物のすぐ傍まで来そうだ」
「佐原か…!」
「…遠藤、こいつも知っている奴なのか?」
「ああ…。まあな。」
「………こいつは、どうだ…?」

森田は遠藤に問いかけた。
どうだ、とは無論、『殺し合いに乗りそうな人物かどうか』である。
遠藤は少し考え、言った。
「殺し合いに乗ってない、とは言い切れねえが…、人を難なく殺せるほど度胸のある奴じゃあねえな」
「………遠藤、アンタが話してみたら、こいつを同行人にできそうか?」
「…まぁ、話はできるだろうが…」
「遠藤、この佐原って奴が建物に入ってきたら、アンタ一人で会いに行ってくれないか?」
遠藤は、モニターから顔を離して森田の顔を見た。

***9

森田は賭けに出たのだった。
遠藤に、俺の言葉で行動するように仕向ける…そのための第一歩…!
「遠藤、アンタは人を見る目がある。」

森田は何気ない風を装って遠藤をそんな風に評した。
南郷と接触し、難なく取り込めたのも、遠藤がいたからこそ…。
「佐原と話をしてみて、こちらにつくよう誘ってくれ。
…で、もしそいつが裏切りそうな匂いをアンタが感じたら、一階にそいつを待たせておいて、三人で襲撃する」
「……………」
「といっても命まではとらねえ…ふんじばっておいて、そいつの武器を奪うのと、有益な情報を引き出す。
…だが、問題ないようなら、仲間として同行させる。」
「…なるほど、先ず見極めて、その後の動きのために…最初、『ここには俺と奴しかいない』って風に見せかけるわけだな」
「そういうこと…。この役、一番の適役はアンタだ」
「…俺のリスクが大きいな」
「そうだな。」

森田はそっけなく言った。遠藤は立ち上がり、鼻を鳴らす。
「…ふん。だが…森田。もし俺が裏切ったらどうする?」
「………」
「俺が佐原と合流し…、佐原が強力な武器を持っていて…、アンタらを襲撃するかも知れんぜ」
「アンタはそんなことはしない」
「………クク」
「しないさ。今俺達を殺したところで、大して状況が好転するわけでもない。もし殺すとしたら…、
もっと終盤…。そうだろ?」

***10

遠藤はニヤリと笑った。
そもそも、『襲撃するかもしれない』なんて、本気で考えてる奴が今ここで言うわけがない。
軽口だ。
だが…、その言葉の裏には、今の俺達の関係…、それがわかっているかどうか確かめる、という真意が隠されている。
(満点の答えだろ?遠藤……。)
森田も口の端を持ち上げ、遠藤に向かって笑って見せた。

佐原が建物の中に入ったのがモニターで確認できたら、遠藤に動いてもらう。
森田は時計を見ながら、その機を待った。あと30分程度で次の情報が来る…。
距離からいって、もし佐原が建物の中に入ってくるつもりなら、ちょうど入ってきたところを狙って遠藤に動いてもらえるはず…。


森田は、この島に来てからずっと…平井銀二のことを考えていた。
本当は、このフロッピーの中身を確認したときから…、銀さんの現在位置がわかったときから、すぐにでも飛んで行きたかった。
銀さんの助けになりたかった。
だが、それはやめた。

今の俺はまだ何も『助け』になるものを持っていない。
強力な武器を持っていたらまだ助けになるかもしれないが…、いや…、
今俺は、もしかしたらそれ以上に重要といえる支給品を持っている。

***11

俺にこのフロッピーが支給されたのは何かしら意味がある…。
きっと、今見えている以上のことが…、このゲームに関する重要な意味…。
しかしそれを使いこなせていなければとても助けることなどできない…。銀さんを…。

銀さんが立ち向かうのはいつも…強大な権力者……!
つまり……本当の敵は『参加者』などではないっ…!

このゲームの綻び…、それを見つけるまでは…俺は『単独行動』をとる……!


【D-7/ショッピングモール/夕方】
【森田鉄雄】
 [状態]:健康
 [道具]:フロッピーディスク 不明支給品0~2 支給品一式
 [所持金]:1000万円
 [思考]:後々、銀二の助けになるよう準備をする このゲームの隙を見つける 遠藤に手足として動いてもらう

【遠藤勇次】
 [状態]:健康
 [道具]:参加候補者名簿 不明支給品0~2 支給品一式
 [所持金]:1000万円
 [思考]:森田を利用して生き延びる 佐原に声をかける

【南郷】
 [状態]:左大腿部を負傷、低度の精神疲労
 [道具]:麻縄 木の棒 一箱分相当のパチンコ玉(袋入り) 支給品一式
 [所持金]:1000万円
 [思考]:生還する 赤木の動向が気になる

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